どうも、グラントです。
世田谷美術館で開催中の「こぐまちゃんとしろくまちゃん」展に行って参りました。
絵本の原画展を訪れるのは今回が2回目です。
初めて行った絵本の原画展は瀬名恵子さんの原画展だったのですが、その時気付けなかったことを今回の展覧会を通して発見しました。
今回はそんな絵本について書こうと思います。
いざ、こぐまちゃんとしろくまちゃんの世界へ。
6色で彩られたこぐまちゃんの世界
絵本「こぐまちゃんとしろくまちゃん」は基本的に6色で描かれています。
紺、緑、黄、オレンジ、グレー、スミ(黒)の6色。
子供から見える世界のあらゆる側面、表情をたったの6色で表現しているというのですから驚きです。
言われるまで全くもって意識していませんでした。
そんな6色で描かれるこぐまちゃんたちですが、実はもう一色、紫が入ったイラストもあるというのです。
先ほど、「基本的に」6色で描かれると書いた理由はそこです。
そのイラストとはこぐまちゃんシリーズが10周年を迎えた際に記念として描かれたもので、背景や小物に紫が加えられています。
こぐまちゃんの世界的にはかなり希少なものなのです。
可愛かったのでお土産にマグネットを購入。
リトグラフで彩られる世界
上記の6色はリトグラフ(石版画)を用いて描かれます。
語源はlithos(ギリシャ語で石の意味)から出来たとされています。
元来は平らな石の上に描画し、印刷する版画でした。
現在では石の代わりに金属板等も使用されます。
版面を彫ったりはせず、平らな版面の上に描き、平らな版面のまま印刷する為に平版と呼ばれています。
リトグラフは、水と油の反発する性質を利用する化学的な版画です。
仕組みは、平らな版面の上に油性分を含んだ描画材料で描画し、描画終了後、薬品を塗ります。
そうする事により、油性分を含んだ部分(描画部)は油性分とくっつきやすくなり、描画されていない部分は水分を保存しやすい状態になります。
インクを載せるまえに版面に水を含ませるべく、濡れたスポンジで版面をなぞることで、版面に水の膜ができます。
油性分を含んだインクを版面にのせると、描画した部分は、インクの油性分と描画部分がくっつき合うことでインクがのります。
一方の描画されていない部分は、版面の水の膜により、油性分をはじいてインクが乗らないようになるのです。
文字通り水と油の関係。
描画部分にインクがのった所で、版面の上に紙を置き、プレス機で圧をかけて印刷します。
こぐまちゃんの絵本を作る際は、この作業を6色分、合計6回繰り返すことでようやく1枚の絵が完成するのです。
子供は絵本を通して世界を知り、自己を形成する
いままで絵本について真面目に考えたことがなかったので、絵本は単に子供が喜ぶ可愛いイラストが描かれたものという認識しか持っていませんでした。
ですが、全くもってそんな薄い存在のものではないのですね。
こぐまちゃんの絵本で描かれているものは、子どもが体験する日常です。
朝起きて、顔を洗う。
ご飯を食べたらうんちがでる。
おもちゃと一緒にごっこ遊びをして、最後はしっかりお片付け。
お風呂に入って、歯を磨いたらおやすみなさい。
絵本はこの日常を、文字ではなく、絵で表現することで子供に生活とは何かを伝えるのです。
子供は絵本を見て世界を知り、こぐまちゃんの真似をしながら、生活というものを学んでいく。
情操教育とはこういうもののことをいうのでしょうか。
知識を蓄えるためでなく、生活や心の豊かさを育む。
絵本はそれを助けるための教材であると、今日初めて気付きました。
可愛らしい絵は子供に共感を生ませる
今まで可愛らしい絵を使うのはシンプルに子供ウケがいいからだと思っていました。
今思えばなんと浅はか。
もちろんリアル思考の絵より可愛らしい絵の方が子供ウケはいいでしょう。
ただそれは手段であって目的ではないようです。
子供にウケるとはつまり、子供が絵本の中のキャラクターにより共感しやすいということです。
キャラクターの体験や感情を自分ごととして捉えることで、物事の善悪や、喜怒哀楽という感情を学んでいくのです。
子供と絵本のキャラクターがどれだけ親密な関係を築けるのか、そのために作家の方々は膨大な時間と労力を割いているのです。
「ちゃんと」読み聞かせをしてあげよ
普段絵本に触れることのない生活を送っているからこそ、今日新しい発見がありました。
将来子供を育てることになったら、「ちゃんと」絵本の読み聞かせをしてあげようと思いました。
今のうちに練習でもしておこうかしら。
本日もお読みいただきありがとうございました!
コメント